疾患紹介|兵庫医科大学 心臓血管外科

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疾患紹介

 2004年2月に以前の胸部外科から心臓血管外科が発足し、大阪大学より宮本裕治が主任教授に赴任しました。
 当科は2004年以前に胸部外科として既に20年以上の実績があり、心臓血管外科では関西でも有数の施設としてすでに知られております。このような歴史のおかげで、手術室、集中治療室や病棟の設備は円滑な運営ができるように完全に整備されており、年々発展を続けています。

 専門分野は、冠動脈疾患、心臓弁膜症、真性および解離性胸部大動脈瘤などに対する外科的治療が中心となりますが、腹部大動脈瘤や四肢の閉塞性動脈硬化症に対する手術も多数おこなっております。
また、2006年からは腹部大動脈瘤に対して、2007年からは胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術も行っており、現在、当科での腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術件数は、兵庫県下で最多となっています。

  • 冠動脈疾患
  • 弁膜症疾患
  • 大血管疾患
  • ステンドグラフト

冠動脈疾患

心臓の筋肉に血液を供給する冠状動脈が狭くなったり、詰まったりすることにより生じる狭心症や心筋梗塞に対して、再び血液の流れを良くする方法として、冠動脈バイパス術があります。 バイパスにはすべて患者さんご自身の血管を用います。すなわち、内胸動脈(胸骨の裏の動脈)、大伏在静脈(両下肢の表在静脈)、橈骨動脈(前腕の動脈)などを用います。最近では、大伏在静脈を内視鏡で採取することにより、傷を小さくすることが可能となっています。

内視鏡により大伏在静脈を採取 従来の方法で大伏在静脈を採取
内視鏡により大伏在静脈を採取 従来の方法で大伏在静脈を採取

冠動脈は太さ約1〜2mmと非常に細く、その吻合には細心の注意が必要です。人工心肺を用いない手術ではその吻合の質が低下する可能性があり、吻合できる場所が制限されることがあります。このため、当科では人工心肺装置を用いて、より確実な冠動脈の吻合を行うことを基本方針としています。その結果、吻合の成功率が非常に高いのが特徴です。ただし、症例により人工心肺装置を使用しない方がより安全であると考えられる場合には心拍動下冠動脈バイパス術を行います。

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■冠動脈疾患吻合ビデオ

※ご注意
実際の手術画像が掲載されていますので、
気分の悪くなる可能性のある方は、お気を
つけください。

弁膜症疾患

【1】弁膜症とは
心臓 心臓には血液の逆流を防止するための弁が4つあります(図1)が、その弁の働きが悪くなり、心臓に障害がおきた状態を弁膜症と言います。
このうち弁の開口部が狭くなる状態を狭窄と言い、血液の逆流がおきる状態を閉鎖不全と言います。(図2、3)
 最近では特に高齢者の大動脈弁狭窄症が増えてきていますが、症状がでないうちに病気が進行するのが特徴で、適切な時期に手術をする必要があります。
また僧帽弁閉鎖不全症も最近増加してきています。

大動脈弁狭窄症の弁(二尖弁) 大動脈弁閉鎖不全症の弁


僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術【2】弁膜症の手術
 大動脈弁疾患では基本的に自分の弁を人工弁に代える手術
(人工弁置換術)を行います。
ただし、一部特殊な疾患(大動脈弁輪拡張症)では人工弁を使用せずに自分の大動脈弁を残す大動脈基部再建術も行っています。
 僧帽弁閉鎖不全症では修復術を原則としており、一般に困難とされる僧帽弁前尖に対しても修復を行い良好な成績をあげています。(図4)狭窄症では人工弁を使用する場合が多いです。
 また弁膜症に心房細動という不整脈が合併した場合、当科では同時に心房細動に対する手術を行い、85%以上の成功率を上げています。

人工弁【3】人工弁の種類
人工弁には機械弁と生体弁があります。機械弁は耐久性に優れますが、ワーファリン(血栓を予防する薬)を一生のまなければなりません。
一方生体弁はブタやウシの弁や心膜で作られた弁で、ワーファリンを必ずしものむ必要はありませんが、耐久性が若干劣ります。(図5) 当科では人工弁置換が必要な場合は、患者さんの年齢と生活内容等を考慮して、長期耐久性のある新しいタイプの生体弁か機械弁を選択しています。

【4】低侵襲僧帽弁手術

僧帽弁閉鎖不全症に対して、胸骨を切開せずに右側胸部の小切開(7cm)のみで手術を行う、低侵襲僧帽弁手術も積極的に行っています。(図6)
本術式により創部はほとんど目立たず、また手術後の回復も早く、早期の退院が可能となります。(図7)

右小開胸による僧帽弁手術(MICS) MICS術後の創部

大血管疾患

 大血管の病気として主なものは大動脈解離と大動脈瘤があります。兵庫医科大学心臓血管外科では伝統的にこれらを多く経験しており(年間100例前後)、常に患者さんに最良の治療を提供する方針で診療を行っております。

大動脈解離【1】 大動脈解離(図1)
 急性大動脈解離は大動脈が中膜で裂けることにより色々な症状を示す命にかかわる重症の病気で、迅速な治療が必要となります。
 当施設は阪神地区の三次救急施設として、救急治療科や循環器内科と協力をしながらできるだけ多くの患者さんを受け入れられるような体制を整えております。
手術も今まで経験と最新の知見に基づき、ひとりひとりの患者さんにあった治療を提供しています。


【2】 大動脈瘤
 大動脈瘤は大動脈が正常径(2-3cm)より拡大する病気です。原因には動脈硬化や高血圧があり、症状がほとんどないことが特徴で、最終的には放置しておくと破裂してしまいます。4-5cm以上では破裂予防のために手術が必要です。当施設では豊富な経験に基づき、手術はもちろんのこと、後述のステントグラフト治療も含め、患者さんひとりひとりの状態に合わせた治療を提供しております。

【3】 部位と手術方法
 大動脈瘤や大動脈解離はできる部位により治療方法が異なります。

>>A 上行〜弓部胸部大動脈瘤(図2)
 手術は心臓の手術と同じで胸の真ん中を切開します。色々な工夫を行って合併症の軽減や遠隔期成績の向上に努めており、特に心臓手術の中でも難しい弓部大動脈瘤に対する全弓部置換術(図3)では早期死亡率1〜2%と良好な成績が得られています。

胸部大動脈瘤 全弓部置換術

>>B 胸部下行大動脈瘤〜胸腹部大動脈瘤(図4)
 手術になった場合は胸の左側を切開します。
この手術の合併症である対麻痺(下半身麻痺)を予防するために、脊髄栄養血管を術前に見つけて(図5)、対麻痺予防に努めております。
この血管はかなり見つけにくいのですが、当院の放射線科によるこの栄養血管の診断率はほぼ100%と非常に高率です。

胸腹部大動脈瘤 脊髄栄養血管

腹部大動脈瘤>>C 腹部大動脈瘤(図6)
 最近では後述のステントグラフトによる治療が主流となってきており、当科でも基本的にはこの方針で治療を行っております。
手術になった場合はお腹の真ん中を切開します。
術後はしばらくの絶食が必要です。また、破裂の手術例も多く経験しています。


ステントグラフト

 ステントグラフトとはステンレスやナイチノール(形状記憶合金)などの金属(ステント)に人工血管(グラフト)をかぶせたものです。動脈内へステントグラフトを留置し動脈瘤への血流を遮断し破裂を予防します。

動脈瘤に対するステンドグラフトの治療概要

 当科では2006年にこの治療を開始しました。当初は患者さん別にステントグラフトを我々が作成し使用していました。2007年以降は保険適応となった企業性ステントグラフトを使用しています。
このステントグラフト治療は、従来のお腹を切る手術には耐えにくい全身状態の不良な方(85歳以上の超高齢者、合併症を有する方;心筋梗塞、認知症、寝たきり、低肺機能)にも手術が可能です。

腹部大動脈瘤治療用ステンドグラフト

胸部大動脈瘤治療用ステンドグラフト

 また、手術翌日から、食事や歩行が可能であり、平均入院日数は腹部ステントでは4-5日、胸部ステントでは8日くらいです。
費用は全て健康保険適応であり、個人所得額にもよりますが、通常は高額の自己負担は発生しません。
当科のステントグラフト治療の特徴としては、特に胸部大動脈瘤では解剖学適応があれば、可能な限り、外科手術とのコンビネーションではなく、ステントグラフトのみによる動脈瘤治療を目指しています。

腹部大動脈瘤治療用ステンドグラフト症例(74歳男性)

胸部大動脈瘤治療用ステンドグラフト症例(61歳男性)

現在の日本で、この治療を行うためには専門資格が必要です。当院では胸部腹部ともに複数のステントグラフト実施医、指導医が在籍しており、症例数は2006年開始後2014年12月までに胸部大動脈瘤167例、腹部大動脈瘤(腸骨動脈瘤を含む)245例の計412例に行いました。

外来:大動脈瘤に対する外来は毎日行っています。そこでステント治療が適すると判断されればステントグラフト専門外来(金曜日)で詳しい説明を行います。

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